浜口梧陵(その7)『今、稲むらの火はどこに ??』 【関白のつぶやき】

日本は世界でも有数の災害国である。
思いもよらなかった地域に台風が上陸し、その結果、被災地では、「こんな大雨は今まで経験したことがない」「川が氾濫しようとは」、あるいは「こんな大きな地震はなかった」等などが語られる。
日本は正に災害列島である。
地震が起こり、津波が襲来し、地球の温暖化によって大型台風や集中豪雨が発生。想定を超える大規模な風水害や土砂災害が全国規模で起こっている。
そのような中、安政元年(1854)11月5日に発生した安政東海・南海地震から151年目の平成27年(2015)、国連本部は、11月5日を“世界津波の日”に制定し、津波への警戒を喚起した。
広川町・標識 そしてこの稲むらの火の故郷・和歌山県広川町では、毎年11月、“津波祭”が行われ、津波への警戒心を植え付けると共に、同町の子供たちは、各々堤防に土を盛り祈りを奉げている。故郷の安全を願うと共に堤防を補強し、さらに津波の記憶を風化させないためでもある。祭り自体が防災訓練の意味を持っているのである。
しかしながら、我々は、“稲むらの火”の教訓を正しく認識し、日常生活で活かしているであろうか。答えは、NOである。
日々、町の安全、安心を図り、防犯対策を向上させると共に、津波などの災害発生時には、避難場所への誘導など、今でも“稲むらの火”は必要ではないだろうか。しかしながら全国の市町村では、そのような“稲むらの火”は全く灯されていない。
五兵衛さんのいない今、津波などの災害時、安全な場所へと導く“稲むらの火”は、誰が灯すのであろうか。
今から150年も前のこの“稲むらの火”の教訓が全く生かされていないのでなないだろうか。
我々は、この“稲むらの火”の話を単に津波の教訓として記憶しておけば良いものではない。日常の生活でも活かさなければならない。現在、我々が必要としているものが何かが、認識されていないのではないだろうか。
広川町・標識 災害発生時には、停電になることも予想される。町は全くの闇の中に閉ざされる。そのような時、我々は避難場所へ道に迷うこともなくたどり着けるのであろうか。

科学技術は大きく進歩した。その科学技術を活用して現代の“稲むらの火”を燈したいものである。それが太陽光や風力発電による“安全・安心の灯、稲むらの火”である。現代の“稲むらの火”は単に防犯灯だけでなく、災害時の避難場所への誘導灯でもある。全国規模でこの“安全・安心の灯、稲むらの火”が燈されることを期待したい。
横山 豊(よこやま ゆたか)