河内長野 三十三ヶ所 寺社巡り 

天野山金剛寺の境内に四国八十八箇所の遍路道がある。これは実際に現地に行けない参拝者のために、当寺がこれらの人たちの便宜を図って設けたものであるが、寺院が企画する出開帳などと同じ趣旨のものである。
そこで一寺院がその境内に設けた西国三十三ヶ所の巡礼道や四国八十八箇所の遍路道ではなく、当市全体を遍路や巡礼のできる町と見立てると面白いのではないかと「河内長野三十三ヶ所寺社巡り」の巡拝道を考えてみた。
まず、巡拝コースは、一筆書きできるように設定すべきであろうが、これがなかなか難しく巧くいかない。そこで当市の寺社を三つのグループに分類してみた。

まず第一の「東コース」は、近鉄・汐ノ宮駅を出発の起点とし、千代田神社、極楽寺、河合寺、観心寺、川上神社(鳩原)、大日寺、延命寺を廻って三日市町駅に出るコースで、7つの寺社を巡る。このコースには、「新河内長野八景・二勝」の「観心寺の金堂」と「延命寺の紅葉山」がある。

第二の「街道コース」は、多くの寺社を巡るコースで、南海・千代田駅を起点として当市を南北に貫く西高野街道を歩くことになる。
松林寺に始まり、盛松寺、明忍寺、西代神社、蓮光寺を経て、長野神社、旧・大日寺、烏帽子形八幡神社、増福寺、真教寺そして三日市町の月輪寺に至る。その後、加賀田神社、興禅寺、赤坂上之山神社、新町・庚申堂、石仏寺を過ぎ、さらに岩瀬の薬師寺、地蔵寺(清水)を巡拝し、天見の安明寺、蟹井神社、流谷八幡神社を巡り天見駅に出てくるコースで、21の寺社巡ることになる。このコースでは「新河内長野八景・二勝」の一つ「烏帽子形城址の照葉樹林」が楽しめる。

第三の「西コース」は、南海・千代田駅を出発し、「新河内長野八景・二勝」の「寺ヶ池公園の借景」を楽しみ、住吉神社、青賀原神社、天野山金剛寺を経て、日野の観音寺、高向神社を巡るコースで、5つの寺社を巡ることになる。このコースでは、「新河内長野八景・二勝」の「天野山金剛寺の秋月」を賞することもできる。

そして、これらのコースを全て巡拝すると「河内長野三十三ヶ所寺社巡り」は、満願となる。
なお、滝畑の光滝寺と天神社、また岩湧寺、さらに中山天満宮(南ヶ丘)や三嶽神社(石見川)は、遠隔地でもあり番外の5寺社とした。
現在、当市の観光の中心は、観心寺や金剛寺、延命寺などの有名寺院に偏っているように感じられる。今回「河内長野三十三ヶ所寺社めぐり」を考えた趣旨は、それらの有名寺院だけでなく、市内に広く点在する多くの寺社を全て巡拝するためである。
また、納経帳や巡拝記念の集印帳、スタンプ押印表などが発行されればなお良い。
これらがあれば、巡拝参加者もスタンプラリーの一種として捉えることができるのではないだろうか。
そしてその集印帳などは、市内いずれの駅でも、また観光案内所や寺社でも置いておくと良い。
なお、無人の寺社に対しては「土、日のみ」押印可能とか、あるいは月一回の特定日のみ押印可能とか、当企画が実現するために何らかの条件設定が必要であろう。
市内全域の寺社を巡拝することにより、各寺社の沿革を知り、さらに当市の歴史そのものの認識も深めることができ、それは同時に健康維持や増強にも繋がっていくと考えられる。 (楠菊亭白鳩(なんぎくてい はっきゅう))