河内長野の聖なる草木

河内長野市の松林寺や延命寺、あるいは観心寺や興禅寺などにシナノキ科
の菩提樹(ぼだいじゅ)が植わっている。
この木は仏教での聖木であるが、世界にはこのように、その宗教を代表する「聖なる草木」がある。
如来や菩薩が蓮華台に座しているように、仏教の聖なる花は、蓮華(れんげ)、また聖なる樹木には、「悲しみがない」という意の無憂樹(むゆうじゅ)がある。釈迦はこの樹の下で誕生したと言われ、また菩提樹の下で瞑想し、悟りを開いたとされている。さらに涅槃に入った時、四方に同根の沙羅双樹(さらそうじゅ)が繁っていたが、入滅すると、それが一本ずつ枯れていったと伝えられている。
従って、無憂樹・菩提樹・沙羅双樹は、仏教の三大聖木とされている。
キリスト教では、アダムとイブが食したリンゴは、聖なる果物というよりも罪悪を表していて、その結果イチジクの葉は最古の下着となった。
一方、神社では、榊がある。この木は玉串として神前に供えたり、お払いに使われたりするが、湯立神事では、笹の葉が使われている。そして境内にはご神木として注連縄が張られた杉の木や楠の木が見られる。
因みに小生にとっての聖なる草木は何であろうか。松、竹、梅、それとも菊やサツキあるいは檜などであろうか。 なお、興禅寺(河内長野市)の聖なる花・蓮華は、7月下旬に開花する。

(杉岡清和)